ウォータージェットレーザー(水導レーザー)とは?
ウォータージェットレーザー(Water-Guiding Laser、水導レーザー)は、超高圧の水流を光学的導波路として活用し、レーザービームを材料まで伝達する次世代精密加工技術です。従来の空気中レーザーが焦点からずれるとビーム品質が急激に低下するという欠点を根本的に解決し、加工中に発生する熱とパーティクルを水がリアルタイムで冷却・洗浄します。
SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)などの第3世代半導体、AlN・Si₃N₄セラミック、ダイヤモンドなど、従来のレーザーでは加工が困難だった材料を熱影響なく精密加工できるため、半導体・航空宇宙・パワーエレクトロニクス分野で急速に注目を集めています。
動作原理 — 全反射を利用した水中ビームガイディング
ウォータージェットレーザーの核心原理は、光ファイバーと同じ全反射(Total Internal Reflection)現象です。
1. nsグリーンレーザー(波長515〜532nm)が集光レンズを通して焦点を形成します。 2. 超高圧(50〜800bar)に加圧された高純度脱イオン水(DI water)が直径20〜100μmのノズルを通過し、安定した微細な水柱を形成します。 3. レーザービームが水柱内部で全反射を起こし、完全な円筒形の経路で加工材料まで直進します。 4. 加工中に発生した溶融物とパーティクルは水流によって即座に排出されます。
有効作業距離は5〜50mmで、材料厚さに関係なく焦点調整なしで均一なビーム径を維持します。加工可能な材料厚さの範囲は0.01〜30mmです。
従来レーザー加工との比較

| 項目 | 従来レーザー | ウォータージェットレーザー |
|---|---|---|
| 焦点管理 | 焦点ずれで品質低下、精密な調整が必要 | 焦点調整不要(全反射を維持) |
| ビーム形状 | 円錐形→非平行な切断面 | 円筒形→完全垂直な切断面 |
| 熱影響部(HAZ) | あり(材料変質のリスク) | なし(水冷同時加工) |
| 切断アスペクト比 | 制限あり | 高アスペクト比(切り幅≥20μm) |
| パーティクル処理 | 別途洗浄が必要 | 水流でリアルタイム除去 |
| バリ発生 | あり | なし(水圧で溶融物を排出) |
| 3D加工 | 制限あり | 可能(非平面表面の加工) |
| 表面保護膜 | 別途塗布が必要 | 不要(水膜が自動保護) |
主要装置仕様

| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| レーザー光源 | nsグリーンレーザー(波長515〜532nm) |
| 出力 | 25 / 50 / 100 W |
| 周波数 | 10〜50 kHz |
| ノズル直径 | Ø 20〜100 μm |
| 水圧 | 50〜800 bar |
| ビームスポット径 | 50 / 80 / 100 / 200 μm(カスタム対応可) |
| 作業距離 | 5〜50 mm |
| XY繰返し精度 | ±3 μm(300×300mm基準)/<±2 μm(オプション) |
| 加工速度 | 最大300 mm/s |
| 軸構成 | 3 / 4 / 5軸(A/B/C回転軸オプション) |
| 作業ストローク | 300×300 mm / 500×500 mm / 1000×1000 mm |
| 環境条件 | 温度20〜22°C、湿度30〜50% |
加工可能材料
ウォータージェットレーザーは特に硬度が高い、または熱に敏感な材料において卓越した性能を発揮します。
| 材料分類 | 代表材料 |
|---|---|
| 第3世代半導体 | SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム) |
| 高硬度金属 | ステンレス、銅、アルミニウム(12mm以上の厚さ対応可) |
| セラミック | AlN、Si₃N₄、ABF複合セラミック |
| 基板類 | シリコンウェーハ、Geウェーハ、ガラスウェーハ、TGV基板 |
| 回路基板 | 多層銅箔PCB(厚さ8.3mm)、銅箔薄板(30μm) |
| 特殊材料 | ダイヤモンド、サファイア、金属フィルター薄膜 |
主な加工事例


半導体・ウェーハ加工
- SiCウェーハ切断:切り幅約96μm、クリーンな切断面、熱影響部なし
- Si微細構造:エンコーダーディスク用の放射状スロット(5μmレベルの微細加工)
- Geウェーハ:厚さ0.2mm、貫通穴およびブラインドホール(直径>200μm)
- Si異形構造:ギア形状、異形曲線などの自由形状切断
セラミック・高硬度材料
- AlN / Si₃N₄セラミック:垂直穴0.2〜1mm、熱影響のないクリーンな加工
- ABF複合セラミック:垂直穴0.25〜1mmの高密度配列
- 6061アルミニウム合金:円筒穴直径300μm、深さ6mm
金属精密加工
- ステンレス2mm:直径200μmの垂直穴を高密度配列
- 多層銅箔PCB 8.3mm:完全垂直な切断面を実現
- 銅箔/SS316薄板(30〜50μm):高密度フィルター穴、熱影響なし
- 銅/アルミニウム12mm:異形切断および垂直精密加工
放熱構造加工
- 金属ブロックに直接、超高密度ピンアレイ(放熱フィン)を加工
- 半導体パッケージおよびAIサーバー用マイクロチャネルヒートシンクの製作
特許技術 — 異形切断と等エネルギーパルス同期制御
従来の水導レーザーは直線加工にしか適さないという限界がありました。OHI Techが供給するウォータージェットレーザー装置は、運動同期型等エネルギーパルス制御(Equal-Energy Pulse Synchronous with Motion)特許技術を搭載しています。
この技術は、CNCモーション軸の速度変化にかかわらず、加工経路上のすべての位置で同一エネルギーのレーザーパルスを照射します。直線だけでなく曲線・ギア形状・非定型アウトラインなど自由形状の加工が可能であり、米国(US 8,422,521 B2)・台湾・中国・韓国・日本・欧州で特許を保有しています。
ウォータージェットレーザー導入時のチェックリスト
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 材料特性 | 硬度、脆性、熱感受性、厚さ |
| 加工形状 | 直線/曲線/異形、穴径および深さ |
| 要求精度 | 切り幅、垂直度、表面粗さ |
| 生産規模 | 単品R&D用 vs 量産ライン |
| 水処理環境 | RO/DI水供給、排水処理 |
| 設置環境 | 防振、恒温恒湿条件 |
よくある質問(FAQ)
Q1. ウォータージェットレーザーと一般的なレーザーの最大の違いは何ですか? A. 熱影響部(HAZ)の有無です。一般的なレーザーは加工熱が材料に残留して結晶構造を変形させますが、ウォータージェットレーザーは水流が同時に冷却するためHAZが実質的に発生しません。SiC・AlN・ダイヤモンドのように熱に敏感で亀裂が生じやすい材料において、決定的な違いを生みます。
Q2. SiCウェーハの切断にウォータージェットレーザーを使用すると、実際にどのような結果が得られますか? A. OHI Tech供給装置での実績では、SiCウェーハ切断時に切り幅約96μm、熱影響部なし、バリのないクリーンな切断面が得られます。ブレードダイシングと比較してチッピングが大幅に減少し、水流が切削残渣をリアルタイムで洗浄するため追加の洗浄工程が不要です。
Q3. ウォータージェットレーザーで加工できない材料はありますか? A. 材料そのものよりも形状・寸法が制約となります。ノズル直径20〜100μmを基準に切り幅をそれより狭くすることはできず、材料厚さは0.01〜30mmの範囲です。水分に反応する材料(水溶性材料など)も注意が必要です。不明な場合は、OHI Techの試験加工(フィージビリティテスト)で事前確認が可能です。
Q4. 異形(曲線・ギア形状)の切断は可能ですか? A. 可能です。OHI Tech供給装置に搭載された等エネルギーパルス同期制御(US 8,422,521 B2)特許技術により、CNCの速度変化にかかわらず全経路で同一のエネルギーが維持されます。曲線、ギアアウトライン、自由形状などの異形加工も直線と同等の品質で処理できます。
OHI Techのウォータージェットレーザー装置供給
OHI Techはウォータージェットレーザー装置を供給し、半導体・化合物半導体(SiC/GaN)・セラミック・金属精密加工分野のお客様に最適な加工ソリューションをご提案します。装置導入前に実際の材料を用いた試験加工(フィージビリティテスト)を実施し、加工可否と品質を事前に確認できます。材料仕様と加工条件をお知らせいただければ、最適な装置構成をご案内いたします。
お問い合わせ:jino.kim@ohitech.co.kr